飲食店の厨房では、物をどこに置くかによって、作業のしやすさが変わります。
同じ物でも、
「すぐ手に取れる場所」にあるのか、
「少し離れた場所」にあるのか、
「しゃがまないと取れない場所」にあるのか。
それだけで、作業中の動きは変わります。
整頓をするときに考えたいのが、「使用頻度」です。

収納場所を「空いているから」で決めていませんか?
厨房の収納場所を決めるとき、「ここが空いているから、ここに置こう」となっていないでしょうか。
もちろん、空いている場所を有効に使うことは大切です。
でも、現場改善として考えるなら、それだけでは足りません。
大切なのは、「どのくらい使う物なのか」ということです。
よく使うものは、取りやすい場所へ
例えば、一日の営業中に何度も使うトング。
それを、棚の一番奥や高い場所に置いていたらどうでしょう。
使うたびに、
手を伸ばす。
取り出す。
使う。
戻す。
この動作を何度も繰り返すことになります。
一回だけなら、それほど気にならないかもしれません。
しかし、何十回、何百回と繰り返す作業なら、小さな不便も積み重なります。
だからこそ、「よく使うものほど、取りやすい場所」に置くことが大切です。
使用頻度で置き場所を分ける
例えば、こんなふうに考えます。
毎日、何度も使うもの
→ すぐ手が届く場所
毎日使うけれど、使用回数は少ないもの
→ 少し離れた場所でもよい
週に数回しか使わないもの
→ 作業場所から少し離れた収納場所
ほとんど使わないもの
→ 使用頻度の高いものを邪魔しない場所
このように、使用頻度によって置き場所を変えていきます。
すべての物を「取りやすい場所」に置く必要はありません。
むしろ、すべてを取りやすくしようとすると、取りやすい場所が足りなくなります。
「取りやすい場所」は限られている
厨房の中で、
腰から胸くらいの高さで、すぐ手が届き、作業場所からも近い。
そんな「使いやすい場所」は限られています。
だからこそ、その場所には何を置くのかを考える必要があります。
使用頻度の低いものを、便利な場所に置いていないでしょうか。
逆に、毎日何度も使うものが、取り出しにくい場所に入っていないでしょうか。
実際の作業を見てみる
整頓するときは、収納場所だけを見ても分からないことがあります。
実際にスタッフが仕事をしているところを見てみましょう。
「この人は、何を何回取りに行っている?」
「何度も同じ場所に手を伸ばしていない?」
「使うたびに、しゃがんでいない?」
「取り出すために、別の物を動かしていない?」
こうした動きを見ると、物の置き場所を変えたほうがよいところが見えてきます。
収納を変える前に「使う回数」を見る
整頓というと、収納用品を買ったり、棚を増やしたりすることを考えがちです。
でも、その前にやることがあります。
「何を、どのくらい使っているのか」を確認することです。
使う回数が多いものは近くへ。
使う回数が少ないものは、少し離れていても問題ありません。
この考え方だけでも、収納場所の決め方は変わります。

整頓は「全部を取りやすくする」ことではない
すべての物を一番取りやすい場所に置く必要はありません。
大切なのは、「よく使うものを、よく使う人が、すぐ取れる」状態をつくること。
そして、使用頻度の低いものによって、使用頻度の高いものが使いにくくならないようにすることです。
整頓は、物のためではなく、仕事のために行います。
次に厨房の収納を見るときは、
「ここ、空いているから何か置けないかな?」
ではなく、
「ここには、何を置くのが一番仕事をしやすくするだろう?」
と考えてみてください。
物の置き場所を変えるだけで、スタッフの動きが変わることがあります。
それが、現場改善につながる整頓です。
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【筆者紹介】
徳王 美紀(とくおう みき)
飲食店専門 現場改善コンサルタント
飲食店を中心に、HACCP・5S・環境整備・従業員教育を通して、働きやすく、生産性と品質の向上につながる現場改善を支援しています。
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