飲食店の厨房で「探し物」が多いなら、整頓を見直してみませんか?
「〇〇が見つからない」
「〇〇はどこ?」
「これ、どこに戻せばいい?」
飲食店の現場で、こんな会話が頻繁にありませんか?
モノはある。
収納場所もある。
一応、きれいに並べている。
それなのに、スタッフが探している。

実は、これは「収納が足りない」ことが原因とは限りません。
整頓の仕組みが、現場の動きに合っていない可能性があります。
「ある」のに、すぐ使えない
例えば、厨房の引き出しにトングが入っているとします。
トングそのものは、ちゃんと収納されています。
でも、「どこだったかな?」と探し始める。
さらに、他の道具をよける。
似たような道具の中から選ぶ。
ようやく見つけて取り出す。

これでは、必要なものをすぐ使える状態とは言えません。
現場で大切なのは、「収納されているか」ではなく、「必要なときに、迷わず取り出せるか」です。
整頓するときは「モノ」ではなく「人の動き」を見る
整頓を始めると、つい収納場所や収納用品に目が向きます。
「このケースに入れよう」
「棚を増やそう」
「もっときれいに並べよう」
という考え方です。
でも、現場改善では、その前に確認したいことがあります。
「そのモノを、誰が使っていますか?」
「どこで使っていますか?」
「一日に何回くらい使いますか?」
「使った後、どこへ戻していますか?」
ここを確認します。
例えば、調理担当者が頻繁に使う調理器具を、洗い場側の棚に置いていたらどうでしょう。
収納としては問題なくても、調理担当者にとっては取りに行く距離が増えます。
反対に、洗い場で頻繁に使うものを調理台の近くに置けば、洗い場スタッフにとっては使いにくくなります。
つまり、「どこに置けばきれいか」ではなく、「誰が、どこで、どのように使うのか」から置き場所を考える必要があります。
私たちは、収納場所を考えるとき「動作」ではなく「動作・動線」この2つの視点で考えています。

よく使うものほど「しまい込まない」という選択
飲食店では、毎日のように使うものがあります。
トング、計量スプーン、ラップ、調味料、手袋など、店舗によってさまざまです。
こうした使用頻度の高いものを、棚の奥に入れてしまうと、取り出すたびに手前のものを動かすことになります。
一度なら気にならなくても、毎日何度も繰り返せば、それは現場の負担になります。
そこで、
・使用頻度の高いものは取り出しやすい場所に置く
・同じ場所で使うものをまとめる
・置き場所を決める
・必要に応じてラベルをつける
といった工夫をします。
ただし、ここで注意したいのが、「よく使うものは収納ケースに入れる」という考え方です。
実際の現場でも、よく使うものをケースにまとめて収納していることがあります。
もちろん、それで使いやすくなるのであれば問題ありません。
大切なのは、「しまうこと」ではなく、取り出した後まで考えることです。
取り出しやすい。
使いやすい。
そして、使い終わったら戻しやすい。
ここまで考えられているなら、収納ケースを使う方法も有効です。
一方で、「収納すること」ばかりを優先して、取り出すたびにケースを開けたり、ケースを引き出したり、フタを外したりするようでは、使用頻度の高いものをわざわざ使いにくくしていることになります。
よく使うものほど、「しまう」ことが正解とは限りません。
あえてしまわず、すぐ手に取れる状態にしておく方が、現場の動きに合っている場合もあります。
「取り出しやすい場所に置く」だけで終わらず、「取り出したあと、戻しやすいか?」まで考える。
これが、現場改善で整頓を考えるときの大切なポイントです。
「よく使うものは、しまう。」
ではなく、
「よく使うものを、どうすれば取り出しやすく、戻しやすくできるか。」
ここから考えてみてください。

「スタッフによって置く場所が違う」は整頓のサイン
もう一つ、現場でよくあるのが、「人によって置く場所が違う」という問題です。
Aさんはここ。
Bさんはこっち。
新人はどこに戻せばいいのか分からない。
これでは、せっかく整頓しても、すぐに崩れてしまいます。
必要なのは、「きれいな収納」ではなく「誰が見ても分かる収納」です。
「トングはここ」
「ラップはここ」
「計量スプーンはここ」
というように、置き場所が決まっていれば、スタッフが変わっても迷いにくくなります。
必要に応じてラベルを付けるのも有効です。
これは新人教育にもつながります。
先輩に毎回、「これ、どこですか?」と聞かなくても、場所を見れば分かる。
そんな環境は、新人にとっても働きやすい環境です。
改善する時は、みんなで決めることも重要です。
その日に休みの人は知らされず、元の場所に戻してしまいます。
また、変更したことをみんなに知らせること。
壁に「〇〇は××に移動しました。〇月〇日店長」という感じで、お知らせを貼っておきましょう。
いつの間にか元に戻るのは、これらのことが徹底されていないから。
収納用品を買う前に、まず「探している場所」を探す
整理整頓を改善するとき、最初に収納用品を購入する必要はありません。
まずは、厨房を観察してみてください。
「どこだっけ?」
「これ、どこに戻す?」
「ちょっと取ってくれる?」
そんな言葉が出ている場所はありませんか?
そこには、現場の「探す」「迷う」というムダが隠れているかもしれません。
収納用品を増やす前に、なぜ探しているのかを考える。
そして、
「どこにあるか分かる」
「すぐ取り出せる」
「使ったら戻せる」
という状態をつくる。
これが、現場改善につながる整頓です。
整頓は「きれいに見せるため」ではない
整頓というと、見た目をきれいにすることだと思われがちです。
もちろん、衛生面や安全面からも、整った状態をつくることは大切です。
しかし、飲食店の現場改善で考える整頓の目的は、それだけではありません。
探さない。
迷わない。
すぐ取り出せる。
そして、使ったら元の場所へ戻せる。
この状態をつくることで、スタッフの余計な動作を減らし、仕事をスムーズに進められるようになります。
整頓は、モノをきれいに並べる作業ではなく、人が働きやすい環境をつくる作業なのです。
更に「ラベリング」が必要です。
モノ(収納ケース)だけではなく、そのモノの(収納ケース)を置いている棚にも「ラベリング」が必要です。
どちらか1つだけの「ラベリング」は崩れる残念な整頓になります。
👍 飲食店の改善のコツ
整頓した場所は、「取り出しやすさ」だけで判断しないでください。
実際にスタッフに使ってもらい、「使った後、すぐ元の場所に戻せるか?」まで確認してみましょう。
例えば、
・ケースを開けないと戻せない
・奥まで手を入れないと収納できない
・置き場所が分かりにくい
・戻すために別のものを動かす必要がある
このような状態では、最初はきれいに整っていても、時間が経つと崩れやすくなります。
整頓で大切なのは、「取り出しやすい」だけではなく、「戻しやすい」こと。
使う人が無理なく戻せる場所と方法になっているかを確認してみてください。
「きれいに収納する」より、「使った人が自然に戻せる」。
ここまで考えることが、現場で続く整頓のコツです。
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【筆者紹介】
徳王 美紀(とくおう みき)
飲食店専門 現場改善コンサルタント
飲食店を中心に、HACCP・5S・環境整備・従業員教育を通して、働きやすく、生産性と品質の向上につながる現場改善を支援しています。


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